ドメイン名とは、コンピュータネットワークにおいてインターネットに接続されたコンピュータに割り当てられているIPアドレスを文字列に変換したものです。通常、ドメイン名登録サービスを行う事業者に申し込み、登録管理組織 (レジストリ) にドメイン名を登録することで取得できます。
ドメイン名は、WEBサイトのURLやeメールアドレスの文字列中に使用されます。例えば「https://sagami–okada.jp/index.html」「service@sagami–okada.jp」の文字列中の「sagami–okada.jp」の部分がドメイン名です。
また、ドメイン名はいくつかの文字列が「.」(ピリオド) で結合した構成になっており、これらの文字列を右から順にトップレベルドメイン,セカンドレベルドメイン,サードレベルドメイン,・・・といいます。例えば「sagami–okada.jp」というドメイン名であれば、「.jp」の部分がトップレベルドメイン、「sagami–okada」の部分がセカンドレベルドメインです。
トップレベルドメインには、「.com」「.net」「.org」等のように分野別に割り当てられたもの (これを「gTLD」又は「genric TLD」という。) と、「.jp」「.cn」「.us」等のように各国/地域に割り当てられたもの (これを「ccTLD」又は「country code TLD」という。) があります。
※トップレベルドメインが「.jp」のドメイン名 (以下「JPドメイン名」という。) には、属性型JPドメイン (「.co.jp」「.ne.jp」「.gr.jp」等),汎用JPドメイン名 (「.jp」),都道府県型JPドメイン名 (「.tokyo.jp」「.kanagawa.jp」等) があります。
※トップレベルドメイン等には、それぞれの登録管理組織 (レジストリ) が存在し、ドメイン名の登録管理業務を行っています。
なお、ドメイン名登録サービスを行う事業者に申し込んでドメイン名を取得する場合、トップレベルドメインが「.com」「.net」「.org」等のドメイン名や汎用JPドメイン名等についてはセカンドレベルドメインの部分の文字列、属性型JPドメイン等についてはサードレベルドメインの部分の文字列を、申込者が指定できます。
ドメイン名のうち、トップレベルドメイン等の部分、すなわち「.com」「.net」「.org」「.co」「.ne」「.gr」等の部分はドメイン名の使用主体の組織形態を、「.jp」「.cn」「.us」等の部分はドメイン名の使用主体の属する国/地域を表示したものに過ぎないため、その部分からは自他商品 (役務) の識別機能はほとんど発揮されませんが、トップレベルドメイン等以外の部分 (自分で指定する文字列の部分) に識別力を有する文字列を指定している場合には、その部分を要部として自他商品 (役務) の識別機能を発揮する可能性があります。
そのため、ドメイン名は、誰かが登録していればそれと同一のものは取得できないものではあるのですが、他人がそれをドメイン名としてではなく、商標やその他の商品等表示として使用することで、フリーライドやポリューション等を被る可能性があるのです。
ですから、ドメイン名を取得して事業等で使用する場合には、ドメイン名全体、又はドメイン名のうち、トップレベルドメイン等以外の部分 (自分で指定する文字列の部分) の文字について商標登録を受け、商標権でドメイン名を保護できるようにしたほうがよいかもしれません。
不正競争防止法では、一定の行為を不正競争行為として限定列挙し、それらの不正競争行為に該当する行為について民事的措置等を講ずることができます。
ドメイン名に関しては、同法2条1項12号に、
“ 不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示 (人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。) と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為 ”
が不正競争行為に該当すると規定されており、そのようなドメイン名の取得、保有又は使用の行為があれば、その使用差止等を請求することができます。
ここで、同号にいう「不正の利益を得る目的」とは、公序良俗に反する態様で、自己の利益を不当に図る目的をいい、「他人に損害を与える目的」とは、他人に対して財産上の損害や信用失墜などの有形無形の損害を加える目的 (以下、これらを「図利加害目的」という。) をいいます。
同号によれば、他人の周知、著名な特定商品等表示を使用したドメイン名を取得、保有又は使用していると、そのドメイン名を取得等した時期にかかわらず、その他人の特定商品等表示の周知性、著名性に便乗し、図利加害目的でドメイン名を取得等したとして、同法2条1項12号の不正競争行為を行ったことになります。
したがって、他人の特定商品等表示が周知、著名となる前からその特定商品等表示と同一又は類似のドメイン名を取得等していたとしても、同法2条1項12号の不正競争行為に該当することになる可能性があります。
また、ドメイン名に関する不正競争行為には、適用除外事由もありません。
これらの点を考慮すると、ドメイン名を取得して事業等で使用する場合、不正競争防止法上の措置だけではドメイン名の保護は必ずしも十分というわけではなく、ドメイン名全体、又はドメイン名のうち、トップレベルドメイン等以外の部分 (自分で指定する文字列の部分) の文字について商標登録を受け、商標権でドメイン名を保護できるようにしたほうがよいかもしれません。
ドメイン名に関しては、ドメイン名のうち、トップレベルドメイン等以外の要部となる部分の文字や、ドメイン名全体が商標登録されています。
例1
例2
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